50歳前後に減少し始める筋肉量を増やしてラク痩せ!

筋肉をつけながら痩せる方法は?注意すべきポイントも

沢岻 美奈子
監修者
沢岻美奈子 女性医療クリニック
沢岻 美奈子

公開日:2024.02.09

更新日:2024.02.14

筋肉を付けながら痩せる方法をご紹介!50歳前後になると、女性は筋肉量が徐々に減少してしまいます。筋肉は痩せやすくしたり病気を予防したり、見た目にも影響するため大切です。運動と食事内容に気を付けて、無理なくきれいな体を手に入れましょう。

女性は50歳前後になると筋肉量が徐々に減少する

女性は50歳前後になると筋肉量が徐々に減少する

もともと女性は、男性と比べて食事からのタンパク質の摂取量が少なく、ホルモンの影響によっても筋肉が付きにくい傾向にあります。

男性ホルモンの代表でもある「テストステロン」というホルモンは、筋肉の発達を促進する作用がありますが、男性の方が多く分泌されているため、分泌量の少ない女性は筋肉が付きにくくなります。

また50歳前後の女性の場合、更年期に伴って女性ホルモン「エストロゲン」が大幅に減少することで、心と体のバランスが大きく変化します。更年期症状として何となくの不調が続いたり、気分が落ち込んだりすることによって活動量が減ることで、筋肉量の低下につながってしまいます。

老年医学会「日本人筋肉量の加齢による特徴」によると、日本人女性の筋肉量は18〜34歳までは36.4kg、35〜44歳に36.6kgとピークを迎え、45〜54歳は36.4kg、55〜64歳は35.2kg、65〜74歳は33.9kgとなっています。

このことからも、女性の筋肉量は50代頃から急激に減少することがわかります。

ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せるべき理由

ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せるべき理由

筋肉は立つ、歩く、座る、登る、降りるなど日常のあらゆる動作をするために欠かせないものであることはよく知られています。

しかし50代以降のハルメク世代は、筋肉を付けながら痩せた方がよいとされる理由を知らない人も多いのではないでしょうか。

ここでは、ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せるべき理由を3つご紹介します。

痩せやすくなるから

50代以降になって、ちょっと食事を減らしたくらいでは痩せなくなったと感じることはありませんか?

これは、加齢に伴う基礎代謝量の低下が原因です。

基礎代謝は生命を維持するために必要なエネルギーですが、筋肉量の低下に伴って基礎代謝も減少し、脂肪が蓄積しやすい体に変化していきます。

逆に考えると、筋肉を増やせば基礎代謝量も増加させられるということなので、筋肉を付けることは結果的に痩せやすい体を作ることにつながるといえるでしょう。

病気の予防になるから

女性は閉経前後になると、エストロゲンが急激に減少し、それに伴って生活習慣病のリスクも急激に高まるといわれています。

エストロゲンは血管の状態を健やかに保ったり、内臓脂肪を分解しやすくしたりする働きがあるため、減少すると高血圧や脂質異常症、糖尿病や肥満、心臓病、脳卒中などの生活習慣病にかかりやすくなってしまうのです。

生活習慣病のリスクを減らすためにも、筋肉量を増やして心肺機能を高め、免疫力や体力をアップしていきましょう。

また、筋肉を付けながら痩せることは、うつ病の予防にも効果的です。

閉経前後はイライラや不安感、不眠、無気力など精神的な症状も引き起こしますが、運動をすると睡眠の質がよくなって精神が安定するため、うつ病を予防する効果も期待できます。

若々しく見えるから

筋肉を付けながら痩せると、体全体が引き締まって実年齢よりも若々しく見えます。

50代以降は、標準体重であったとしても、筋肉量が減少してメリハリのないボディラインに……。

「ならばもっと痩せなくちゃ!」と無理な食事制限だけを行ってしまうと、肌荒れしたりシワが増えたり髪が細くなったりなど老け込んだ印象になるため、ハルメク世代は体重を減らすことではなく、筋肉量を増やして体脂肪を減らすことを目標にしましょう。

ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せる方法

ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せる方法

筋肉を付けながら痩せることは、健康的な体を維持するためにも大切です。

更年期に入って筋肉量が急激に低下する50歳前後の女性は、適度な運動を継続することと必要な栄養素をしっかり取ることを意識しましょう。

ここでは、ハルメク世代が筋肉を付けながら痩せる方法をご紹介します。

下半身の筋肉を中心に鍛える

下半身にはお尻の大臀筋や太ももの大腿四頭筋、ハムストリングスなど、体の中でも特に大きな筋肉がたくさんあるため、筋肉量を増やしやすく基礎代謝もアップしやすいのが特徴です。

以下の運動を取り入れて下半身を鍛えると、血行も促進されて全身のむくみ予防にもつながります。

らくスクワット

らくスクワット」は、寝る前の習慣にしたいおすすめの運動。足の裏やもも、股関節、お尻、腹筋など全身に働きかけます。

寝る前に体を動かすことで、体全体をリセットして翌朝テキパキと動ける体になるでしょう。

  1. まっすぐに前を向いて立つ
  2. 肩の力を抜いて後ろへ引き、背すじを伸ばす
  3. お腹を引く
  4. 足の裏と指でしっかりと床を踏みしめる
  5. お尻の筋肉を寄せながらゆっくりと膝を曲げていく

つま先と膝は外へ向け、徐々に膝を曲げていきましょう。最初は深く曲げられないかもしれませんが、継続しているうちに徐々にできるようになります。

上半身が前に倒れないよう、骨盤を起こすことが大切です。安定しない人は、いすや壁を支えにして無理せずできるところまで膝をしっかりと曲げるようにしてください。

有酸素運動

ウォーキング」などの有酸素運動は、長時間行ったりエネルギーが不足した状態で行ったりすると筋肉量を低下させてしまいますが、筋トレとバランスよく行うことで筋肉量を減らさず健康的に痩せられます。

ウォーキングで筋肉量を増やすには、ウォーキングの前にスクワットなどの筋トレを行い、一定の負荷をかけることが大切。

ウォーキングをする際は、手を軽く握ってこぶしを楽に緩め、胸を開いて肩の力を抜いて肩が楽に動く姿勢を取りましょう。背筋を伸ばして顎を軽く引き、まっすぐ前を見てお腹に力を入れながら歩くと、体幹を使ったウォーキングができます。

プランク

プランク」は、内臓の下垂を防ぐとともにインナーマッスルを刺激して体幹を強化します。器具を必要とせず気軽に挑戦できるため、筋トレ初心者にもおすすめです。

  1. うつ伏せに寝て、肘を肩の真下にくるように置く
  2. 前腕から肘にかけてと、つま先のみで支えて体を浮かせる
  3. お腹とお尻に力を入れ、頭から足までを一直線になるように体を支える
  4. そのまま10秒キープ
  5. 1〜4を3回を目安に行う

掃除中に沈み込みウォーキング

トレーニングの時間が取れないときは、生活の中で手軽にできる「ながら筋トレ」もおすすめです。家事をやりながら行うだけで、太ももやお尻などの大きな筋肉を鍛えることができます。

まずは掃除機をかけながらできる、簡単な沈み込みウォーキングをご紹介します。

  1. 片足を前に踏み出し、膝を深く曲げて静止する
  2. 次に逆の脚を前に出し、腰を下に落としながらゆっくりと前進する

ポイントは、太ももとお尻の筋肉が使われているか意識すること。つま先よりも膝が前に出ないよう注意が必要です。

1日10歩から、できれば100歩を目標に行いましょう。

タンパク質を中心に栄養をバランスよく摂取する

ハルメク世代が痩せるには、若い頃のようにただ食べる量を減らせばよいわけではありません。

健康的に痩せるためには、必要な栄養素をしっかりと取りながら、筋肉を付けて脂肪を落とすことが大切です。

特にタンパク質は筋肉を作る材料になるため、積極的に取りましょう。それと同時にビタミンB6やビタミンDなど、筋肉を作る働きをアップさせる栄養素を取るのがおすすめです。

タンパク質は肉類や魚類、大豆製品、卵、乳製品などに多く含まれています。ビタミンB6は卵や大豆製品、バナナ、豚ヒレ肉、マグロなどに、ビタミンDはきくらげや鮭、うなぎ、さんま、まいたけなどに多く含まれるため、これらの食品を積極的に使うよう心がけてください。

年齢とともに多くの量を食べられなくなった世代の女性は、最初に血肉となるタンパク質をしっかりと食べる「オーソモレキュラー栄養療法」の考え方を取り入れることをおすすめします。

野菜を最初に食べると、それで結構お腹が満たされてしまい、本当に必要なタンパク質量をなかなか食事で賄えない人も多いです。

そのため、最初にタンパク質をしっかりと食べ、次に色の濃いビタミン豊富な葉野菜を中心とした野菜類を、糖質が高く血糖値を上昇させるご飯や果物類は最後に少しだけ取るイメージで食事をしましょう。

栄養素は普段の食事で摂取することが理想ですが、取りきれない場合はプロテインやサプリメントを利用するのもおすすめです。

筋肉を付けながら痩せるときに注意すべきポイント

筋肉を付けながら痩せるときに注意すべきポイント

筋肉を付けながら痩せると、ボディラインにメリハリが出るだけでなく健康寿命を伸ばすことにもつながるため、ぜひとも実践したいところ。

しかし、がむしゃらにがんばると続かずに途中で嫌になってしまう可能性もあるため、自分のペースで進めることが重要です。

ここでは、筋肉を付けながら痩せるときに注意すべきポイントを3つご紹介します。

体に痛みがあるときは無理せず休む

筋肉痛など、体に痛みがあるときは無理せず休みましょう。

筋肉痛は筋肉が傷ついて炎症を起こした状態です。痛みを我慢して筋トレを行うと、筋肉をさらに傷付けてしまいます。

また、筋肉は損傷から回復する過程で大きくなるため、筋肉痛のときは十分な栄養と水分を取り、お風呂にゆっくり浸かるなどして休むことが大切です。

長期間継続できる内容を意識する

極端な食事制限や強度の高い運動を毎日行うと、長期間継続できずに途中でやめてしまうことになります。

筋肉が成長するには、適度な糖質が必要です。食事を過度に制限してしまうと、糖質が足りずに筋肉を分解してしまうため、せっかく筋トレをしても筋肉量が思うように増えなくなります。

また、つらい筋トレや食事制限を毎日やろうとがんばり過ぎてしまうと、1日やらなかったことがきっかけとなり、早々にやめてしまう可能性も。

そのため、筋トレは週に2〜3回、食事は量を減らさず内容に気を付けるだけにするなど、無理せず長期間継続できる範囲の内容で行いましょう。

運動の前後は必ずストレッチを行う

運動をする際は、前後に必ずストレッチを行うことが大切です。

ストレッチは怪我の予防になるだけでなく、筋肉の疲労回復を促進する効果が期待できます。

運動前は体を動かしながら伸ばす動作を取り入れたストレッチ、運動後はゆっくりと伸ばして使ったところをほぐすストレッチがおすすめです。

50代以降でも遅くない!筋肉を付けながら痩せよう!

心身ともに大きく変化するハルメク世代は、筋肉を付けながら痩せることが大切です。

この時期に運動や食生活の見直しをするかしないかで、将来若々しさを保てるかだけでなく、病気のなりやすさにも大きな違いが出てきます。

これまで運動やダイエットをしたことがない人でも遅くはありません。まずはタンパク質を意識して取ったり軽い筋トレをしたりなど、できることから始めてみましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:沢岻 美奈子さん

沢岻 美奈子さん

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。子宮がん検診や乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く行っています。更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い、女性のヘルスリテラシー向上のために、実際の診察室の中での患者さんとのやりとりや女性医療の正しい内容をインスタグラムで毎週配信。

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