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- 認知症初心者の父を見て、介護初心者の私が思ったこと
80代の父の認知症が分かって2か月。週末実家に帰って介護する、そんな暮らしにも徐々に慣れてきました。今日は、“認知症初心者”の父を見て、今の自分が感じたことをお伝えしたいと思います。あくまで、私が自分の父の言動を見て感じたことです。
認知症の人が何度も同じことを話す理由
私が父の隣に座ると、父は何やらおもむろに話し始めます。
「そっか、●●(孫)は受験勉強がんばっているのかぁ、えらいなぁ」
「僕は時計の見方が分からんようになってきた、いま何時になったかな?」
「そういえば●●(孫)は受験勉強がんばっているのかぁ、えらいなぁ」
話題というほどの内容ではなく、しかも同じことを何度も繰り返します。さっきも聞いたなぁ、と適当な相槌を打ちつつ、ふと思いました。
認知症の人が何度も同じことを話すのは、
話したことを忘れているのではなくて、
“自分が覚えている”そのことを、
忘れないようにするためではないか。
さっき話したという事実を忘れてしまったんじゃなくて、「このことは覚えているぞ!」と“認知”し、忘れないようにするために何度も同じことを話すのではないかな。そんなふうに感じました。
認知症の人が何度も同じ行動をとる理由
父は1日の間に、何度も歯を磨きに行ったり、電気シェーバーの掃除をしたりします。
「なんで何度も掃除するの? さっきやったじゃん」と本人に言おうとして、はたと気づきました。
認知症の人が何度も同じ行動をとるのは、
さっき行動をしたことを忘れているのではなく、
“ちゃんとできるぞ、忘れていないぞ”、
と都度、確認しているからではないか。
同じ行動を繰り返すのも、何度も同じことを口走るのと同じ原理なのかもしれないな。
やったことを忘れてしまったわけではなくて、同じ行動を何度も繰り返すことで「これはできるぞ!」と実感し、安心しているのかもしれません。
認知症の人がじっと座っているときに思っていること
一日の大半を、一人で家のソファに座って過ごす父。何をするでもなくテレビをぼーっと眺める、そんなふうにして時間が過ぎていきます。
“認知症の人はきっと、自分が何をしていいかわからないんだ”
かつて私が認知症に対して抱いていたイメージは、こんな感じでした。
でも父の姿を見て、そうではないかもしれないと思い始めました。
認知症の人がボーッと椅子に座っているのは、
何をしたらいいのか分からないのではなく、
これまでのようにできない自分と向き合うのが、
とてつもなくつらいからなのではないか。
認知症になるまで毎日、数独や基礎英語、天声人語の書き写しをしていた父。しかしある日を境にぱたりとやらなくなりました。
先日、母が試しに書き写しを誘ってみたら、ほとんど書けなくなっていることが分かりました。
何かを「やってみよう」という気持ちがあるけれど、実際にやってみると思ったようにできない。それを突き付けられるのは、人間として結構つらいんじゃないかなぁ。
だからこそ、行動に移せないっていうことがあるのではないかと感じます。
新しい父の意外な一面
弱気で消極的になってしまった父ですが、半面とても素直になりました。
元来いわゆる“昭和のジジイ”で、理不尽なことを言ったり自分勝手な行動をしたり、ということも多かったのですが、現在は母に対してとても従順(笑)。
母の支えなしでは自分がうまく生活できないということを認知しているようです。
まだこれからどのような変化が起こるか未知数ですが、今のところ比較的穏やかな日々が過ぎています。
そろそろ介護認定が出るころです。介護保険も活用しながら付き合っていこうと思います。
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